『ドラッカー365の金言』(ダイヤモンド社)
9月21日
◆『後家づくりの仕事』
優秀な人たちが連続して失敗する仕事は、後家づくりの仕事である。
◇解説
後家づくりとは、19世紀のニューイングランドの船乗りたちが、連続して
大事故を起こした船につけた名である。船主たちは、その船を思い切って解体
した。
今日では、優秀な人たちが連続して失敗する仕事が後家づくりである。いか
に優秀であろうと、次の者も失敗することは確実である。ここで行うべきこと
は、その仕事を廃止し、仕事の内容を再構成することである。そのような仕事
は、組織が急成長したときや、大きく変化したときに生まれやすい。
そのような例を私はたくさん目にしてきた。学生に教えることが専門だった
単科大学が、わずか10年で研究も手がける総合大学に成長したとき、2人の
学長と何人かの学部長が挫折した。この2つのポストが後家づくりの仕事でな
くなったのは、大掛かりな組織改革の後だった。
通常、後家づくりは偶然から生まれる。例えば、たまたま一人の人間の中に
は、なかなか見られない2つの資質を併せ持つ者が、うまくこなしてしまった
ために生まれる。
当然のことと思われていた仕事が、属人的な偶然の産物だった。そもそも、
同一の個性の者を探すことは不可能である。
***『マネジメント-課題・責任・実践』より***
◇ACTION POINT
・あなたの組織に、後家づくりの仕事はないでしょうか。組み立て直すか、廃
止して下さい。